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「とは言っても、そこまで大きく変えるつもりはない。鬼側も逃げる側もより本気になる為のスパイスみたいなものだ。」
…………いーや、この人はこう言ってるが絶対面倒なことを言い出すに決まってるよ…その証拠に、会長が相手側を丸め込もうとする時によく使う話法がすでに出てるもん!
続けるように会長はプロジェクターをリモコンで操作しながら事細かに説明しだす。
「まず変更点として今年は鬼側、逃げる側と2つのグループに分かれる団体戦とする。グループ全体のポイントが高い方を勝ちとし、例年通り個人得点が高い者は褒美が得られることとする。」
するとコツコツと革靴の音を立てながらバカでかいオフィステーブルの線をなぞるように学級委員の後ろを歩き出した。
「そして肝心の追加ルールだが、両ランキング15位以内の上位者を捕らえた場合個人得点を2倍とする。」
ア"ッッッッッ!!!なんつー余計なことを…!!
何故か毎年毎年逃げる側だった俺を追いかけてくるやつは結構いたけど…撒けていたのは、ガチ勢の奴らが追ってこなかったおかげだ。
既に追いかけられてる人を捕まえようとしてもただ大変なだけで、何もプラスじゃないからね。
でもこのルールが追加されれば間違いなくガチ勢の奴らも追いかけてくることになる。うーーーん、厄介。
突然の追加ルールで処理しきれていない俺のことなんて気にすることも無く会長は続ける。
「また、自らのもつランキング順位と対になる者を捕らえた際には個人得点を3倍とする。そして、ランキング上位者が順位が対の者を捕まえることもあるだろう。つまり…」
そう言うと会長はピタりと歩みを止めた。ん?歩みを止めた??
あ、れ…今、会長の目の前にいるのって……
すると、背後から会長であろう人物の手が頬にするりと伸びてきて、俺の視界はぐるりと天井に動いた。そして会長の顔とご対面する。
「俺がこの華宮椿を捕まえれば合計5倍の得点を得ることができる。」
珍しくもニッと目を細めて笑う顔はどうやら俺にしか見えていないようで、辺りは倒れる者やら固まるものやらなんやらで収集がつかない。
一瞬見惚れてしまったが、この人もっと他に良い例えはなかったんだろうか。あまりにも顔面の距離が近すぎて俺の顔が真っ赤なのは仕方な、い…と思いたい。
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