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「その部屋とは、どのようなものだったのです?」
「そこには、30人ほどの女性がいました。しかしその人数にはあまりに狭い部屋でした」
「ベッドや、設備類は?」
女は頭を振る。
「何もありません。ただトイレという名目で穴が1つあいていただけです。囲いも何もなしに」
「では、寝る時は?」
「全員が横になるスペースすらありませんから、結局2時間おきに皆交代で、横になっていました」
過酷な待遇の描写に、聴衆がざわつく。
それが落ち着くのを待つためか、少しの間をおいてから、進行役はゆっくりと続ける。
「そして、それから……取り調べが始まったのでしょうか」
「はい……部屋の女性が順番に、取り調べ室に呼ばれて行きました。私も含めて」
「取り調べとは?」
「私は言葉が分かりませんから、ただ怒鳴られているのをうつむいて聴くだけです」
「ではその内容はお分かりにならない?」
「言葉が分かる部屋の他の女性に聞くと……やはりお前はテロリストだのどうのということのようで……否定した人の中には、手の爪をすべてはがされてしまった人もいて……」
それを聞いて、進行役が顔を少しゆがめる。
「なるほど……やはり、過酷な待遇だったのですね……」
「ええ、それはもう……」
ステージ上の女は顔を下げた。華奢な肩が震えているのが分かる。すすり泣いているようだ。
「いろいろ、大変なことがありました……身体検査と称して、看守の前で全員裸で並ばされたり、体を触られたり……」
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