0人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう、私は生きていたくありません……」
女は肩を震わせ、小さく声を絞りだした。
女は、ステージの上で椅子に腰かけている。
そしてその傍らには、進行役が一人。
薄暗いステージに、スポットライトが当たる。
そんな光の中で、女の長く黒い髪がきらめく。しかしそんな美しさとは裏腹に、その女の顔には苦悩の跡がくっきりと刻み込まれている。
彼女は、被害者だった。
ある国で突然拉致され、いわれもない強制収容を約半年にわたって受けてきた。
最初のコメントを投稿しよう!