証言

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「もう、私は生きていたくありません……」  女は肩を震わせ、小さく声を絞りだした。  女は、ステージの上で椅子に腰かけている。  そしてその傍らには、進行役が一人。  薄暗いステージに、スポットライトが当たる。  そんな光の中で、女の長く黒い髪がきらめく。しかしそんな美しさとは裏腹に、その女の顔には苦悩の跡がくっきりと刻み込まれている。  彼女は、被害者だった。  ある国で突然拉致され、いわれもない強制収容を約半年にわたって受けてきた。
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