今日、二十歳になる

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 2021年3月11日。  私、弥生美音は、20歳になります。  字面だけ見ると、ただのお誕生日報告ですね。皆さんにとっては、なんてことない一日で、私にとっては、歳を一つ重ねる節目の日。そんな一日……だったはずです。  私は、この日に生まれ、そしてあの日から10年という節目の年に成人を迎えるということに、何かしら感じざるを得ないものがあります。運命、と言ったら大袈裟ですが、確かにそれに近い、何か私が生まれた意味のようなものを考えさせられるのです。  先に言っておきますと、私はあの震災で少なからず影響は受けたものの、直接被害を受けたわけではありません。だからこそ、ここに書く私の言葉全てが、被害者の方々にとっては詭弁にしか見えないしれません。彼らが感じた苦痛を想像し、理解することなど不可能だという事も分かっています。  ーーとは前置きしたものの、そこまで大層なことを述べるつもりはございません。20歳という節目の年に、何かしら残しておくのも悪くないのではないか、というような単純な理由で執筆しております。  ただ、どうしても、この日に誕生日を迎えるという事実は、10年前の記憶を呼び起こさせるものです。あの日、10歳になったばかりの私は何を経験し、何を感じたのか。そのことばかり思いを巡らせてしまいます。  ですので、せっかくと言ってはなんですが、10年前の3月11日で私が経験し感じたことを、ただの自己満足に過ぎませんが、改めて文章にしここに残すことにしました。ここから先は、当時小学4年生だった私が経験したありのままの事実と感情を、正直に綴ります。  つきましては、先に少し述べましたが、もしかしたら私の文章を読んで不快に感じたり、トラウマを呼び起こしてしまう方もいらっしゃるかもしれません。お気をつけください、としか申し上げられないのがとても心苦しいのですが、よろしくお願い致します。  
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