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③ @旭川 彩
彼の行動の意味が分からず、あれから何日も経つのに彼の顔を今まで以上にまともに見る事ができないでいた。
こんな事を続けていていいのだろうか?
三年前彼に「無理だ」と言われて以来、彼から逃げ続けてきた。
だが最近の彼の私を見つめる瞳は何かを訴えかけている。
私のラブレターに羨ましいと言ってくれたあの時の瞳で。
彼は私の手に頬を寄せた。
彼は私の手の平にキスをした。
彼は――――私の事を……?
私は期待してもいいのだろうか?
またあの時のように期待してすぐにそんな事はないと事実を突きつけられてしまうのだろうか?
――だとしても構わないのではないだろうか。
何度も諦めようとした彼への想い。
もう三年も経つのに諦めるどころか彼への想いは膨らんでいくばかりだ。
であればいっそのこと告白してフッてもらった方がいいのではないのか。
そうしたら変な期待を抱く事なく、ただ彼の事を想い見守り続ける事ができる。
彼への想いを抱きしめたまま生きていける。
私は決断は早い方なのだが、ここにくるまでに三年もかかってしまった。
まったく恋ってやつは……。
色々な事が吹っ切れて、久しぶりにすがすがしい気持ちになり、うーんと伸びをした。
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