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②
全員が一丸となれた事で思っていた以上に早く片付ける事ができた。
あのままだったらきっと朝が来ても終わる事はできなかっただろう。
――課長はすごいな……。
そのまま食事に雪崩込むのも今日はみんな疲れているしそもそも時間も遅い。
後日日を改めようという事になりその日はそのまま解散となった。
みんなが食事会への期待とひと仕事やり遂げた達成感に笑顔で帰って行く中、斎藤は課長と話をしていた。
何度も頭を下げる斎藤と笑顔で斎藤を慰めている課長。
内容は聞こえないけれど、きっと優しい言葉をかけているのだろう。
その様子に少しだけ胸がモヤモヤとしてくる。
俺もさっさと帰ればいいのに机の上を片づけるフリをしながらふたりの様子を伺っていた。
すると、課長の大きな骨ばった手が斎藤の頭を撫でた。
あ、れ……?
ポロリと涙が零れた。
自分でも分からない感情に混乱する。
俺は誰にも気づかれないように顔を伏せ、急いで会社を後にした。
冷たい外気にさらされて、ひとり歩きながら思う。
たとえば俺が斎藤のようなミスをしたとして、課長は同じように慰めてくれただろうか?
そんな考えても仕方のない事がぐるぐると俺の心を掻き乱す。
そろそろ春だというのに未だ冷たい夜の空気は、イレギュラーな残業にへとへとに疲れた身体と心までも冷たく冷やした。
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