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「よし、終了だ」
僕はそう宣言して、手術室を後にする。
今日の手術は血管を巻き込んだ腫瘍の摘出術。少しでも血管を傷つけたら、大出血を起こして患者は死んでいただろう。
でも大丈夫。
そんな事は起きない。
だって
僕、清水和平は絶対に手術を失敗しないから。
勘違いしてはいけない。
どこかのテレビドラマの女医さんとは違って、僕がスゴイのではないよ。
僕には五人の強力な仲間がいる。
そのお陰で、僕は絶対に手術を失敗しないんだ。
「清水先生、お疲れ様でした。今日も完璧な手術でしたね」
そう労ってくれたのは、麻酔科医の小林先生。僕の大切なチームの一員であり、もう三年間くらい僕のチームで活躍してくれている信頼深き仲間だ。そして、とても綺麗で聡明な小林先生に僕はずっと恋心を寄せている。今のところ、一ミリも距離は縮まってないんだけど。
「清水先生、小林先生、今日は食堂ですか?」
そう訊いてきたのは、看護師の中村さん。彼女もやはり、僕の大切なチームの一員。とても優秀で、僕ら医者の先回りをして動いてくれるので、医者からの信頼も厚い。
僕の手術は、彼女達なしでは成り立たないのは事実だ。しかし、このニ人はさっき話した五人の中には入っていない。
「うん、今日は食堂にしようと思ってるよ」
「私もそうしようかな」
僕の勤める病院の職員食堂は、管理栄養士さん達が工夫してヘルシーだけどがっつり食べられる料理が並んでいる。価格も四百円とリーズナブルなため、昼時は満席になることも多いんだ。
今は十四時過ぎだから、さすがにもう空いているだろう。
「今日の手術も大活躍だったね」
「うん、"プレシ"はいつも通り正確無比だったけれど、今日は"タック"が頑張っていたよね」
サラダうどん、かやくごはんセットを食べながら、小林先生と中村さんが僕に話しかけてきた。
「そうだね。今日はニ人の動きが良かったから、"ボイス"の出番がなかったね。最後に"ヒア"がバイタルチェックしてくれるから安心だったけれど」
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