地底人の友達

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 いきなり落下した。家の近くの住宅街の細い道を歩いていたら、落とし穴の上に立ったように地面が下に抜けて地底深くまで体が落っこちた。  何千キロメートル、または何万キロメートルも地上から離れたようで落ちていたのは長い時間だった。やはり下から地面に抜けた穴は見えなかった。地下だからか夜のようで暗い。時空間をワープしたのかなとも思った。 辺りを見渡すと都会でビルやマンションなどが建ち並んでいた。電気がたくさん点いている。眼はいい筈だが月や星は見えない。空は真っ暗だ。ここも落とし穴があったのと同じ人通りのない細い道だ。街灯が眩しい光を放っている。僕は高校の帰りに家に向かっていた途中だった。どこかに違う国に来てしまったのかもしれないと思ったが、前から灰色の肌をしたやけに背が高い人が歩いて来た。背丈は三メートルくらいあるだろう。目が大きく耳が小さい。僕はビックリして近くにあったレストランの中に入った。レストランも灰色の人間ばかりだった。スーツを着ている人やワンピースの人。背が低い人間もいるが恐らく子供だろう。可愛いアニメのキャラクターのTシャツを着ている。  僕はレストランから飛び出て細い道から少し広い通りに出た。デパートらしき建物や飲食店が入ったビルが立ち並ぶ。大きな車が行き来している。そこに歩く人たちも灰色だ。今は二月で寒かったがここは暑い。髪の長いスカートの女の子が僕を見て言った。 「地上人?最近見なかったけど、やっぱり背が低いのね」  日本語を喋った。地上人ってどういうことなのだろう。ここは違うのか。地上の反対は地底。地底人の住む世界なのだろうか。落ちたことから推測すればそう考えるのが合点がいく。
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