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「円佳、異動なの?」
同期の友人に確認された円佳は頷いた。
下半期の異動で、彼女は今の総務部から営業部に移ると決まった。
一般職の彼女は営業事務ということだけれど、意外に思ったのは事実だった。
「うん。ちょっとびっくりだけどね」
答えに、柚稀は共感するように笑った。
「でもさ、栄転じゃない。すごいよ」
昇進するわけでないから栄転ではないと思うけれど、円佳は嬉しかった。
営業部には、彼女が秘かに想いを寄せる男性が部長として業務をしている。
柚希も気づいたようで、少し渋い表情に変わった。
「あ、崎本部長のとこか……また一緒なのは災難だね~」
しみじみと彼女が言うから円佳は苦笑した。
彼は、半年前になる新年度の異動で、営業部の部長として、総務部課長からの昇進と同時に移っていた。
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