第八章 癒しの時間とペアリング

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 でも、営業報告があるから当たり前だけれど、恭貴と会うことは多い。  日報だけで終わらない。  以前は二人の会話中、営業部の空気は実感として冷えていった。  桜が終わって春が本格的に訪れたはずなのに、フロアの中は真冬かと思うほど空気が冷たかった。  でも、今は二人ともビジネスライクに接していて、以前と比べたら周りは落ちついて仕事ができる。  「さすがに次で終了だから大人しくなるんじゃない?」  志信(しのぶ)の言葉に、彼は頷きながら言葉を返してきた。  「それはあると思うけど、それ以上の理由があったんだ」  「え、何、それ」  みんなも聞きたそうだ。あの変貌に理由があるなら、円佳も聞きたい。  「高杉(たかすぎ)主任って知ってるか」  彼の言葉に、円佳と柚稀が頷いた。  総務部に、社内結婚した妻が勤める広報部の主任だ。
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