第八章 癒しの時間とペアリング

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 「それで聞いた話なんだけど、三橋主任、会社近くで同期の仲良さそうな男性と一緒に飲んでたんだって」  あの年代は同期の結びつきがないと言われているけれど、親しい相手がいても不思議ではない。  やっぱり一緒に入社したという連帯感はあると思う。  「その人、三橋主任を(なぐさ)めてたそうなんだ。頑張れば挽回できるって。  懲戒処分二回目だから、あの人にしても結構こたえたんじゃないか」  恭貴から聞いた話だと、懲戒処分自体がほとんどないらしい。  だから、瑛都は珍しい社員であるわけだ。  さすがに、自分の置かれた立場は分かるはずだ。  「言われた三橋主任、素直に頷いたらしいけど、その後、相手に言ったんだって。  崎本(さきもと)部長以上になって見返してやるって。真剣に仕事すれば、絶対負けないって断言したらしいから、相当自信があるんじゃないか、自分に。  そしたら、笹田(ささだ)も自分に振り向くようになるとも言ったらしいぞ」  「……」  円佳は複雑な表情になった。周りのみんなも同じような表情で、瑛都の執念に呆れているのが分かる。
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