第九章 氷原に咲く春告げの花

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 そして、婚約したので、恭貴の両親が東京へ来ることになった。  円佳の家族が訪問するつもりだったけれど、二人は息子のマンションにも来たいようで、自分たちが来ると言ってきた。  当日、円佳は緊張しながら恭貴の両親を待った。この部屋から一緒に円佳の家族へ会いに行く。  「そんなに緊張しなくて大丈夫。  二回目の息子をもらってくれて、ありがたいって言ってるよ」  自分を卑下(ひげ)する恭貴に首を振った。  「そんなこと思わないでください。  私、恭貴さんと一緒にいられて幸せなんです。二回目とか関係ないです」  少し厳しく言うと、恭貴は苦笑しながら謝ってきた。  「ごめん。  やっぱり年上でバツイチだから、僕は気にしてる。でも、そこまで好きでいてくれるのは本当に嬉しいよ」  円佳は恭貴の身体に腕を回した。  「すごく大好きなんです。一生変わらないって断言できるんですから」  そのまま二人で寄り添っていると、インターフォンが鳴った。
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