第九章 氷原に咲く春告げの花

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 「こちらこそ、よろしくね。  二回目の息子を選んでくれて、私たち、本当に感謝してるのよ」  「そんなこと……私こそ、恭貴さんに選んでいただけて幸せです」  円佳が恭貴を真剣に想っているのが伝わったようで、彼の両親が嬉しそうだ。  「ありがとう、円佳さん。  こんな可愛い娘さんがお嫁さんだって、みんなに自慢しそうよ」  恭貴の母親の言葉に、父親も同意するように頷いている。  歓迎されていると分かると、安心の気持ちが湧く。  「どうする?  先に円佳の家族に会う?それとも、一回中に入る?」  このマンションは、恭貴が前の結婚の時から住んでいる。つまり、二人は何度か訪れたはず。  その時の印象は残っているだろうか……  「ホテルに泊まるから先に見たいわね。  円佳さんのご家族にお会いしたら、そのままホテルに入るつもりだから」  「ああ、そうか。それじゃ、入って。全然違うよ」
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