第九章 氷原に咲く春告げの花

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 「ああ……そうだったんですか。それなら仕方ないですね。  海外で挙式になりますか」  新婚旅行を兼ねた、海外での挙式は珍しくない。  「そこまで遠くなくてもいいんですが。  沖縄か北海道がいいかと。季節次第というところでしょうか」  冬なら沖縄で、夏だったら北海道ということだろう。  「なるほど……国内の挙式なら、私たちも一緒に行けそうですね。  もちろん、挙式の後は邪魔をするつもりはありませんが」  聞いた恭貴の両親が賛成の雰囲気だ。円佳もいいと思った。  二人だけの結婚式も素敵だけれど、できれば家族に見てほしい。  恭貴を見ると、賛成のようだ。  「そうしていただけるなら嬉しいです。  彼がいなかったら、東京で挙式と披露宴をしたいんですが……やはり、過去にするには」  「それはそうですよ。でも、同じ部署なら、お互いに仕事がしづらくないですか?」
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