第九章 氷原に咲く春告げの花

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 確認された恭貴が苦笑した。  「……確かにあります。  ただ、会社としてはMVブランドの成功が第一で、そのために本社に呼んだわけですから、その部分は出さないように気をつけてます。  実は、同期でもありますので、余計に注意して接してますね。  向こうも、最近は、わきまえてくれるようになりましたから、少しは楽になった感じですか」  同期なのに、上司と部下になる。  さらには、恭貴の一度目の結婚生活を壊した相手でもある。  聞くだけで面倒な関係と察したようで、円佳の父親はそれ以上(たず)ねることはなくて、旅行を兼ねた挙式に会話は移っていった。
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