第一章 冷血と呼ばれる男性(ひと)

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 中村(なかむら)事務総合商事が自社販売する商品-MVブランドの新展開パートナーに霧山商事を迎えたので、内部告発の時以上の騒ぎになった。  内部告発騒動の翌年、副社長が新社長として就任した。  森川(もりかわ)社長は、新商品は高級路線と発表していて、販売に向けて社内は活気づいた。  そして、提携相手の霧山商事からは数人が、出向(しゅっこう)*という形で企画や広報に関わっている。  さすがに日本最大手の商社の社員だと、社内の女性たちが憧れの視線を向けるのは彼女も知っている。  でも、円佳は、あの会社の社員でもまったく興味が湧かなかった。  彼らは全員独身で、確かに結婚相手としてのランクが高い程度は分かる。  分かっていても、彼女は一人の男性しか見ていなかった。 *元の会社に所属したまま、別会社で勤務をすることです。 特別プロジェクトなどのために一定期間働いた後は、元の会社に復帰するところが、完全に別会社に所属することになる転籍との違いです。
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