第一章 冷血と呼ばれる男性(ひと)

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 ***  そんな円佳は入社の時から、総務部社員管理課に所属している。  彼女は社員の給料計算のための出勤日数を確認して、一覧にする担当だ。  給料計算は本社での一括(いっかつ)管理だったので人数は多い。  円佳の他に二人の専従(せんじゅう)社員がいた。その一人が柚稀だ。  この会社は、月末に締め切って翌月二十五日に給与を支払う。  つまり、月初めから十日くらいまではランチも面倒になるほど忙しい。  でも、それを越えると余裕が出る。業務量に変動のある部署だ。  それなりに大変だったけれど、円佳は、大学の商学部で情報処理を専攻していた。  任されている業務は、現場から上がってきた情報を表に落とし込んで、誰が見ても分かる資料にする。  彼女には合ったようで、すぐに業務に慣れていた。
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