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そして、義隆は、全社の営業部をまとめる営業統括本部の本部長。
二人ともに、企業にとって売上が最重要であることは言われるまでもなく理解している。
でも、この会社は、中村「事務総合商事」なのだ。事務用品に関する取次が本業の会社だ。
若年層の人口減少に備えて、問屋としてだけでなく製造販売へも本格的に進出した。
MVブランドと名づけられた独自商品は、ある程度の価格とそれ以上の品質を評価されて、今は取次業と並ぶほどの売上高となっている。
「もちろん、営業職が必要なのは分かってる。でも、他の部門の人員も必要でしょ。
そう言ったんだけど、とにかく売らないとって」
「僕もそれは突きあげられてる。
常務の後ろ盾があるから、小西部長、相当強気で……加藤課長も一課を軽んじるような態度なんだ。注意しても流されてね。
実際、売上は大きいから、あまり抑えつけるわけには」
義隆の言うことは分かる。
営業は売上が評価の対象となる部署だ。でも、急激な業態変更のひずみが、営業部に表れているのは間違いない。
本来、売上の柱が二本になったのだから喜ばしいはずだが、二つの課の間に亀裂が入りつつあるなら、問題しか感じられなくなる。
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