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第四検温所
「はい、有難うございます。すみません検温・・お願いできます?」
そう言った彼女は当然のように私に体温計を差し出した。さきほど耳鼻咽喉科専用窓口で問診票を渡されたとき、体温計も渡されたので検温しましたけど・・勿論、その結果も問診票に記載しましたよ、34.8度って⁉
「問診票に書きましたよ、確か34.何度か?って。」
「えぇ、34.8度ですよね・・だからもう一度、正しく測って頂きたくて・・お願いできますか?」
「あのね・・これ診てもらえます⁉」
私は玄関口で制止された際に提示したあの直近三か月のデーターを再び取り出し見てもらった。
「あら凄いですね・・この表、ご主人がお作りになったの凄い!・・これって左側が・・ご本人様の?・・」
私が作ったエクセルデーターは、左から順に測定月日・時刻・私(マサル)の測定値・家内の測定値・最後の右端はその日の体調を記入したものだった。
「そうです、右側は家内の体温です。平均やと、一度違うでしょ⁉」
「ホントご主人さんの体温って低いんですね⁉ ハイ分かりました!・・でもすみませんね、念のためです・・もう一度検温お願いいたします。」
(オイ、そこのネーチャンよっ!いくら初診やから云うても一日に何回検温させたら気が済むねん‼)と叫びたかったが、恥ずかしいから止めにした。いや、止めにして良かったのかもしれない・・・
よく考えてみよう・・私は医師ではないが、もし身体に疾患があれば体温がそれを証してくれる。これが一般常識と認識している。つまり診察前に、より多くの疾患情報を収集することが医師の診断をより確かな方向に導くのである。
とするならば、問診は必須である。中でも患者の体温に至ってはより基本的な情報の一つであろう。
だとすれば、一日に何回も検温してもらえるなんて、小言を並べるどころか、私はVIPクラスの対応をして頂いたことに感謝しなければならない。
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