低体温症はキザな奴

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低体温症はキザな奴

 あぁ、あれね! 人に冷たいって云われたことですよね? 実は母親によく云われました。 「ホンマ、お前は冷たい奴や」ってね。でもその母が肺炎で亡くなる数か月前には「ワテはホント幸せやった・・」とも言われました。 73年間生きて来た私が体験し感じたそのままを語れば、冷たい人・・つまり「冷たいお方」と呼ばれる人ほど、その人の多くは責任感が人一倍強く信頼できる人だった。と言うことになる。  自身に自信があるからこそ、他人に靡く(なびく)ことも無ければその相手方の無茶な要望を受け入れる必要もないのであろう。 その時のクールは言動や立ち振る舞いを、どうかすれば他人は「冷たいお方」と表現するのではないだろうか。 とは言っても、心底困窮している人物を目前にした場合、果たしてどうだろう。  全くもって見捨て置くなんてことは無かったように、私は記憶をたどる。 だが、力を貸してくれたその人はきっとこのように云ったはずだ。 「俺はお前を救うためにやったんではない!」 「じゃどうして私を助けてくれたの?」 「・・それが俺のためなんだ‼」 と、云ったかどうか、その言葉の詳細まではどうか・・とにかくキザな奴には違いない。  世の中、その人の冷血ぶりが表面化されることは多くあるが、他人を救済したりその手助けをしたような善い話はあまり聞こえてこない。 どうしてかって?・・  世間では「人の不幸は蜜の味」って書籍が出版されているように、美談はシェアされることが少ないから・・ということにしておきましょう。 つまり、根っからの「冷たい人」ってこの世には存在しないと私は信じます。 ―完―
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