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君が残していったもの
恋愛に向かないというよりも、人とわかり合うことに向かない性格なのだと思う。
朝食は二日ごとに交代で作り、洗濯は彼女が、風呂掃除は僕が。
片付けは毎週末に二人でして、家具選びは必ず二人で話し合う。
互いの誕生日には贈り物。なんらかの記念日には少し遠出する。
そんな日々が三年だか四年だか続き、彼女が別れようと言ったので、僕らは別れた。
「別々に生きていきいましょう」と言った彼女は準備をしていたらしく、旅行の際に使っていた鞄に衣服や貴重品を詰め、それを足下に置いていた。心の準備も身辺整理も手つかずだった僕は、ただ「急な話だな」と思った。
彼女はそう言ったきり黙ってうつむいてしまった。
おそらく理由を聞いてほしいのだろう。
だから「理由を聞かせてくれるかい」と言った。
彼女はひどく傷ついた顔をして「貴方のそういうところが、いや」と答えた。
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