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私にそっくりな女が、私の情報をどこからかリークしてきて、居候しようとした。そう結論付けた。そう考えると、怖くなって、家のセキュリティーを強化した。玄関の鍵は二重ロックにし、部屋に防犯カメラもつけた。
ところが女は、そんな私を嘲笑うかのように、難なく私の部屋に侵入し、私の部屋での生活の跡を残して行く。防犯カメラにも、当たり前のように私にそっくりなその姿が映っている。
やはり、私は、二重人格か何かで、自分の無意識のうちに行動しているのではないかという疑念も湧いてきた。ところが、その疑念は脆くも打ち砕かれる。
仕事から帰ると、女はそこに居た。
「おかえりぃ、お仕事、お疲れ様~」
「警察に言うって言ったよね?どうやって入ったの?」
「だって、私の家だもん」
「渡しなさい、鍵。どこで造ったのか知らないけど」
「だから、鍵はあんたが持ってるんだってば」
「早く!出しなさい!マジで警察呼ぶからね?」
「ボディーチェックでも何でもしてみれば?」
くまなく調べたが、鍵は持っていないようだ。
私は、黙ってスマートフォンを取り出し、警察に通報した。
「今、警察、呼んだから・・・」
振り向いた私は、唖然とした。
その私にそっくりな女は忽然と消えていたのだ。
逃げられた?
でも、そんな気配はなかった。
私は、慌てて、玄関のカギを確認しに行く。
締まっている。
目を離したのは、ほんの数秒だ。その間に逃げられるはずもない。
「いったい何なの?」
その後駆け付けた警察官にしつこく職務質問され、苦言されたのは言うまでもない。
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