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ドアの前に立つ。
電気メーターは思いっきり回っている。居る。私が。
廊下に面したキッチンの窓には、私の影がはっきり映っている。
彼もそれに気付いた。
「誰か居るのか?」
「だから、私が居るって言ってるじゃん」
そう言いながら、鍵を回した。
キッチンで水の音がしていたのがピタリと止む。
ドアノブを引くと私そっくりのその女は立っていた。
彼が、はっと息を飲んだ。
私そっくりの女が立っているのだ。当たり前だ。
でも、彼が息を飲んだのは違う理由だ。
私そっくりの女の手には包丁が握られていた。
目を見開く間もなく、その包丁は、彼に突き立てられた。
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