もどかしい想い Side エストレジャ

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もどかしい想い Side エストレジャ

いつもあたしになんだかんだと絡んでくるシジラたちが家に来た。 どうやらこの子を家に連れて帰ったのを見られていたらしい。 家で待つようにって言ったのにこの子はシジラたちから守るようにあたしの前に立って庇ってくれた。 こんな事は初めてだった。 小さい頃からあたしは他の男の子たちとは違っていて、可愛い物や綺麗な物が好きだった。女の子たちと遊ぶ事が好きだった。 自分を美しく着飾り女の子のようなしゃべり方をする。 あたしにとってどれも自然な事だった。 だけどそんなあたしの事を世界は許してくれなかった。 仲間外れにされ、後ろ指を指された。 あたしはこの世界の異物だった。 それでもあたしは生き方を変える事なんてできなくて、いつもいつも息する事さえ苦しかった。 あたしはこのままこの世界のすみっこで一人寂しく消えていくものだと思っていたわ。そんな時この子に出会ったのよ。 ひと目見た時からあたしはこの子を好きになってしまっていた。 どうしてだか分からないけれど、心がこの子の事を求めたのだ。 でも、世界は同性婚を認めていない。 あたしといる事によってこの子がひどい扱いを受けたら、と思うと心が痛い。 だからあたしは、嫌いだなんて言ってしまった。 あたしの言葉であなたが涙を流している。 胸が締め付けられるように痛い。 でも、これはあなたのためなの。 だからあなたがこれからあたしじゃない誰かと笑って生きていくために―――何度でもあたしはあなたの事を嫌いだって言うわ。
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