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妙なことがあってから数日が経つ。あの日以来、アーテルはいつもの大人しく華奢な教師に戻った。まるで、あの日のことが幻とでもいうように。
あれ以来、バートリーは以前より怖い顔をすることが多くなった。一方のシェイネは何一つ変わらなかった。しかし、シェイネも気にかけていた。アートラータも怖い顔こそはしなかったが、アーテルとすれ違うたびに拳を握りしめていた。ジルはあまり笑わなくなった。ミシェルも眉をひそめることが多くなった。
バートリーとシェイネは部屋でお互い話していた。
「でもさ、あれ以来何もなかったみたいな感じだぞ?あれが夢なのかもしれねぇし。あのときほっぺつねればよかったな。」
「あんたはそんな器用な真似できないと思うけど、先生なら表と裏の顔なんて使い分けられるわよ。」
「でも、一切手出ししないじゃんか。」
「そういう狙いでしょ。それに、化けてる可能性だって否定は出来ないし。」
「…そうか…探索眼だったのに分かんなかったな…。」
「精一杯だったんでしょ。」
バートリーは、そう言ってため息をついた。
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