冷たいひと

リクとシロがいる世界は一面、白と灰色だったけれど、その絵本の中の世界は色に溢れていた。

「見てごらん」とリクは言う。

「昔、世界には季節と言うものがあって、それはつまり、ずっと寒いんじゃなくて、暖かかったり、暑かったりするっていうことなんだって」

暖かいっていうのはさ、とリクは続けた。ほら、家の中に暖炉があって火が燃えて居たらその周りは暖かいでしょ？それが家の中だけじゃなくて、外も全部同じように暖かいってことだと思うんだ。そして、絵本を指して続けた。

「今僕たちが住んでいるのが冬の中。昔はここからちょっとずつ暖かくなって、春になって、夏が来て、また少し寒くなって秋になって、それでまた冬に戻っていたんだって」

すごいよね、季節には4つも種類があるんだ。

シロは、興味深いね、と言う風にこくこくと頷いた。

植物も沢山あって、それぞれの季節で、違う花が咲くんだって。でも、僕のお気に入りはやっぱり夏だな。