冷たいひと

14/15
前へ
/15ページ
次へ
「なんてね。みんな、僕のことをのろまでとんまだと思ってるから、こんな子供だましのお話で僕が怖がると思っているんだよ。「冷たいひと」なんている訳ないさ。」 でも、今度はシロは何も答えなかった。じっと、何かを考えるようにそこに座っている。 「ねえシロ、僕は本当にいつか夏が見てみたいよ。お日様の光を沢山浴びて、みんなで幸せに長生きしたいんだ」 その声が少し震えたのは、寒さのせいだったろうか。でもリクはすぐにいつもの明るい声で言った。 「さぁ僕いかなくちゃ。明日は一日、夏至の日のお祭りだから沢山ご馳走を作るよ。夕方になって落ち着いたら、君にも持ってきてあげるね」 リクは名残惜しそうに、手を振り振り、帰って行った。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加