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リクの住んでいる場所は、世界の果てにあるような寂れた小さな村で、リクの知っている限りそこはずっと冬だった。
一年中しんしんと雪が降り続き、空はずっと灰色の雲で覆われている。余りに過酷な環境なので、その村では人々は大体30歳頃には弱って死んでしまう。
子供たちは週に1日だけ学校に通い、それ以外の日は大人たちを助けて湖で氷に穴をあけて魚を釣り、暖炉にくべる薪を拾った。人の数はどんどんと減って、やがていつかはこの村もなくなるのだと皆思っていた。村を支配していたのは、静かな諦観の念だった。
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