冷たいひと

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それからというもの、リクは薪を拾いに行く時には必ずシロと座って話をした。話をした、と言ってもシロは頷くか首を傾げるかする位で言葉を発することはなかった。 だからリクは一人で喋って一人で相槌を打って一人で笑ったり憤ったりした。それでも、シロはそこに座って静かにリクの話に耳を傾けてくれた。 「僕、自分がこんな風に沢山喋れるなんて知らなかったよ」リクは言った。 「他の人と話しているとね、皆どんどん先に行っちゃうんだ。僕はいつも置いてけぼりさ」 シロは、それは困ったね、と言う風に首を傾げた。リクは笑う。 「でもいいんだよ。今はシロが沢山話を聞いてくれるからね」
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