愛情

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知らない音楽。 音楽が嫌いなわけじゃない。でも、金属のはじかれるような音が苦手。チャイムもそう。厳密にいえば違うかもしれないけど。 「いい曲だよな、これ」 「うん、そうだね」 話を合わせてみたけれど、そんなでもない。でも和也が折角買ってきてくれたもの。悪くは言えない。 「ありがと」 「うん。どういたしまして。んで、今日の晩飯はなにかな?」 和也が手をもみながら聞いてきた。それは、まるで幼稚園の劇で、赤ずきんに出てくるオオカミみたい。先生がそうしなさいと振り付けた演技みたいにぎこちない。 でも、それも和也のかわいいところ。 裕美はテーブルに夕飯をセッティングした。
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