愛情

4/11
前へ
/11ページ
次へ
「ねえ、あたしといつ結婚してくれるの?」 「んんっ、またその話か?もうちょっと待ってくれ。いろいろとあるんだ」 「いろいろって?」 「いろいろだよ、いろいろ」 「じゃあ、そのいろいろはいつになったら解決するの?」 「ふふ、怒らないでくれよ。俺が愛してるのはキミだけなんだから」 「もう!また、そうやってはぐらかす」 ベッドの上で和也は妻ではないその人を抱きすくめた。 和也のもうひとつの生活。 この美里との関係はまだそれほどでもない。二ヵ月と少し。 でも、かなり話は進んでいる。進んでしまったというべきか。これは美里の性格によるものが大きい。 和也にすれば、それほど深入りするつもりもない。この雰囲気を楽しみたい。 「さ、そろそろ行くか」 「ええ、もう?」 わざと「行く」と言う。ここが本当の帰る家というように。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加