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「ただいま。今日は花を買ってきたよ」
「えっ?めずらしい。どうしたの最近」
「だめかい?君のよろこぶ顔を見たいだけなのに」
「まあっ!」
和也は名前を呼ばない。とっさに違った名前を呼ばないように。特にそうしようとしてそうなったんじゃない。きっと根っからの浮気性。
「花瓶に生けてくるわね」
妻の弾んだ声に、和也もつられてつい頬がほころぶ。
さて食事だ。
テーブルにつくと、もう皿がセッティングしてある。
「すぐに用意しますから」
花の効果はオルゴール以上。
でも……。
裕美の華やいだ気分の中には、僅かながらモヤモヤしたものが。
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