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お次は、寿司の盛り合わせか。
これも実を言うと予想外だった。
だが問題はない。
食べ方はちゃんと心得ていた。
寿司1貫あたりのカロリーは、平均して大体60キロカロリー前後。
上に乗っているネタによって、割と左右される。
今回用意された寿司は、大層な下駄に乗っかった、穴子、アジ、ネギトロ、ホタテ、中トロ、赤身、鰤、鉄火巻き、玉子、いか、甘エビ。
なかなかのボリュームだが、康夫にとっては屁でもない。
まず、強敵はネギトロだ。
こいつはとろっとろしてやがって、本当にうまい。
だがうまいものや、うまい話には裏があるってのが、この世の理だ。
こいつ、実は寿司ネタのなかでもトップクラスのカロリーを誇る。
こいつをまともに相手していては、身体がいくつあっても足りない。
さっき、ボウルいっぱいの食物繊維を摂取したが、正直それでも怖い。
こいつは避けて、いかから勝負をかけることにした。
いかは、寿司の中でもトップクラスの低カロリーさだ。
これと、あとはアジ、赤身を頂くことにしよう。
「あのー」
康夫はそんな声量では、振り向きもしない。
彼は今、戦場の真っ只中にいる。
「あのー、尾嵜さん?」
だが、さすがに名指しされると、否が応でも反応してしまう。
「これも食べませんか?」
そう言って声を掛けてきてくれたのは、後輩の坂根杏だった。
その差し出された皿には、じゃがバター、甘エビ、ネギトロ、なぜかマッシュポテトが乗っていた。
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