Over 80

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洗面所の棚の下から何か板を取り出した。 体重計だ。 康夫は己の鼓動を肌で感じた。 いやだ、乗るな、やめろ、くそったれ。 心音がそう言ってるように聞こえた。 ゆっくりと足を体重計に乗せる。 この時点で既に、20という数値を示していた。 康夫の鼻息が荒くなった。 左の鼻の穴から、鼻くそがぴこぴこしているのにも気づかなかった。 目も見開いた。 この頃は、コンタクトレンズの交換も怠っていたので、目がしょぼしょぼして、目の前が霞んだ。 目がしょぼつくのは俺がショボいせいか? そんなことを考えるのも嫌になり、力の限り目を擦った。 「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あーーー」 天地を引き裂くような叫び声がした。 コンタクトがソフトレンズだったので、擦り過ぎたせいで、くしゃくしゃになった。そのくしゃくしゃになったままのコンタクトで、眼球を擦ったのだ。 「はぁ、はぁ、はぁ」 勝負の前から、息切れが止まなかった。
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