19人が本棚に入れています
本棚に追加
沙織さんがお風呂に入ったので、晴美さんはゆかりを連れて、部屋に戻った。
晴美さんはベッドの下に布団を敷いて、
「ゆかりはベッドで寝て。私はここでいいから」と、掛ふとんと一緒にゴロンと寝転んだ。
「セミダブルよ。二人で寝てもいいわよ」とゆかりは遠慮がちに言った。
すると、
「ホント?手を繋いで寝てもいい?」って聞いてきた。
「晴美。あなた子どもね。でもいいわよ」
ゆかりはTシャツとパンツ姿でベッドに入った。
晴美さんは布団の上でモゾモゾと服を脱いで、ゆかりと同じようにシャツとパンツ姿でゆかりの横に身体を滑らせてきた。
「えへへ」
すぐそこにお互いの顔があるのが気恥ずかしくて、二人は笑いあった。
「でもこうして間近で見ると、ゆかりってホント美人だね」
「晴美も可愛いわよ。その鼻、私が男だったらかじりたいくらいよ」
ゆかりがそう言って笑うと、晴美さんは急に苦しそうな表情を見せた。それからプイッと寝返りを打って背中を向けた。
馬鹿、と言ったように聞こえたけれど、ゆかりは何も言わず、晴美さんの背中に手を添えて、お休み!と言って目をつぶった。
晴美さんは背中を向けたまま、手を伸ばしてくる。ゆかりはそっとその手を握った。
そして思う。
私だけじゃない。みんな、いろいろ重たいモノを引きずってるのね、と。
最初のコメントを投稿しよう!