下等生物

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「最近どーよ」  “しんるい”の一人が訪ねてきた。名前は忘れた。久しぶりに顔を合わせたのだからしょうがない。 「うちに変なのがいてさぁ」  俺は答える。 「変なの?なんだそれ」 「なんかさぁ、自分たちの世界を自分たちで壊していく愚かな生物でさ」 「ワームか微生物か何か?」 「まぁほんの小ちゃな生き物なんだけど、コミュニケーションに長けたヤツラでさ。なんか意思疎通みたいなのがとれてんだよね。行動に規則正しい法則のみたいなものはないんだけど、お互いを尊重しながら生きてる感じがする」 「でも下等生物なんだろ?」 「うちらからするば間違いなく下等生物だな」    自分が作り上げた小さな世界の小さな小さな生き物が蠢いていたとしても、その外側の世界には何にも影響を及ぼさない。  いくつかある中の一つの世界が崩壊しようと問題はない。    ワタシの予想通りにいかないのがまた楽しい。何でも思い通りにいってしまうのは面白味に欠ける。  いつでも争い事をしているところもあるが、そこに介入しようとは思わない。やりたいのであればやらせておけばいい。しかしそのエリアが広がってしまったとしたら取り返しのつかない事になるだろう。  ワタシが持ついくつかのものの中の一つが崩壊するだけだ。問題ない。
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