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集落の中ほどまで行くと、除雪車が通ったらしく、荒々しく雪が履かれていて、ごついタイヤの跡が続いていた。 「しっかし……(さみ)いな」 独り言さえも凍り付きそうな極寒に、俺はコートのポケットに手を突っ込んだ。 集落を出て、少し進んだところに郵便局があり、その奥に【赤波第二小学校】という看板が取れかけた廃校がある。 (どこを写メでとっても幽霊が出てきそうだ…) さすがに言葉にしてしまうと、背筋が冷たくなるので、胸の内に潜めて、坂道を登っていく。 確か峠道沿いに俺が通うつもりの九帖高校(くじょうこうこう)はあると、父親に聞いた気がした。 (……高さだといいけど……) 俺は目を細めながら、だいぶ前に軽トラックが追い越していったっきり人も車も姿をみせない峠道を歩いていく。 「ーーーーーー」 静かだ。 聞こえるのは、自分の息遣いと、長靴で踏み鳴らす雪の音だけ――――。 ふとガードレールから下を見下ろす。 そこまで高く昇ってきた感覚はなかったが、もともと集落が少し山間に面しているらしく、思ったよりも標高が高くて驚いた。 足を止めて、ガードレールに手を掛ける。 「………………」 そうか。 そうかそうか。 なるほどね。 「……お兄さん……危ないよ?」
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