第1話 契約妻

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翌日、5月24日、7時30分 某駅前の北口 杏樹の目の前に1台の黒い車が止まる、 章の車だ、運転代わる杏樹、助手席に章、 まだ少し吐き気あり、かなり疲れている。 「ありがとう。来てくれて」 「いいよ。仕事してない暇人だから」 「何処の病院?」 「〇〇〇病院、ナビ入れてるから頼むよ?」 「了解」 病院の内科で診察、処置室で吐き気止め点滴したまま胃カメラをすることに、章は以前と同じ胃潰瘍だと思っていた、鼻からカメラで胃の中を見ると。 「大丈夫かな?あの人、家族に連絡したほうが?」 内科の待合席で座る杏樹。 点滴台を押して内科前に来た章、顔色が悪い 「心配だから付き添うよ?」 「うん。ありがとう」 検査結果、診察室に章と杏樹が入る。 若い男性医師はハッキリこう言った。 「即入院、1ヵ月。ご家族を呼んで下さい」 「………」 思考が止まる章と杏樹 「胃に穴があり、出血しています」 医師が説明するが耳に入らない固まる章の脳裏には。 (……俺、死ぬのか?……) 「検査、詳しく検査してください!」 口を開いたのは杏樹、必死で医師に言う。 「あなたは?」 「私は、付き添いです」 「ありがとう。如月さん」 不安で泣きそうな章の肩に手を置く杏樹。 「検査終わるまで待つよ」 章は自分で同意書を書き、造影剤X CT撮影することになった。詳しく検査できると少し気が楽になった章、そして、検査後の内科の診察室 「やっぱり、影あるね!そしてリンパ2ヵ所」 「これなら入院14日間。ちょっと待ってね」 医師は何処かに電話連絡する。 14日と言われホッとする章と杏樹。 一部、手術して取るものと思っていた。 29日に外科医から手術の話がある、今日は ソーシャルワーカーの女性とお話しすることになった。会社に退職の連絡をする章。 夕方、帰りの車の中 「こんな時間まですまない。お昼まだ食べてないよね?今から食べに行かないか?奢るよ?」 「いいよ、別に。羽柴さん食べて大丈夫なの?」 少し遠出して駐車場があるファミレスに来た、 車を停めて中に入る、奥の席に座る2人。 「これからどうするの?」 心配した杏樹が聞く。 「俺の家族は長男、長女、次男、妻は病気で、乳ガンで他界したんだ。俺は胃がんだけどね」 苦笑いする章。 「……あの、迷惑じゃないなら力になってくれないか?初対面の君に言うのは失礼なのはわかってる」 章は思いきって杏樹に詰め寄る。
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