第1話 契約妻

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 第1話 契約妻

5月23日 午後3時半 西新宿ハローワーク 「住み込みで出来る仕事ないか、はぁ、腹へった。お金下ろしとけば良かった、公園で野宿か」 そう言って、モニター画面を終了して席を立つ 仕事を求めて日々、年齢問わず大勢の人がやって来るハローワーク 黒髪ショートヘア、眼鏡、よれてる白いシャツ、青いジーパン、黒いスニーカー、赤いボストンバッグ1つ、今日も仕事を探す、 如月 杏樹 20歳 身長157  午後5時半 新宿中央公園のベンチ横でうずくまる男性 「昼間から飲んでたサラリーマンかな?……ん?何か様子が変?」 杏樹はゆっくりと男性に近く、男性は何度も何度も吐き気におそわれ、吐くけど何もでない。 「……大丈夫ですか?」 「……はぁはぁ、はぁ……」 「いつから吐いてるの?」 「………昼から、ずっと」 そう言って、男性はまた吐くけど何もでない。 「これヤバいんじゃない?救急車、呼ぼうか?スマホ貸して?」 「はぁはぁはぁ……大丈夫、明日、病院行くから。胃潰瘍だと思う」 おろおろする杏樹、男性の背中を擦る、さすがに1人にするのは心配 「1人で病院行ける?家族の人は?」 「妻は他界して父子家庭だ。はぁはぁ、君、車運転出来る?」 「一応、免許あるけど」 「僕は羽柴 章、君の名前は?連絡先、LINE教えて?」 「いいけど……今、持ち合わせないよ?送迎料金くれる?」 少し落ち着いて座り込む章、隣に座る杏樹 「私は如月 杏樹」 「何か女優さんみたいな名前だね?」 そう言って章は少し笑った、杏樹も微笑む。  
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