嘘の恋人

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しばらくするとシステム課からエスコートの者がやってきて、DCシステムズの面々と挨拶を交わしている。 その間に、彼らの訪問者証を用意する。 この訪問者証がないと、社内に入ることができないのだ。 一人ずつ手渡しし、最後に津田さんに渡した。 「お母さん、大丈夫だった?」 まさかの津田さんからの問いかけに私は言葉が出てこなくて、コクリと頷くだけだ。 いやいや、これはチャンスだよ、咲良。 勇気を出せ私! 「あ、あの。津田さんは……桜井大地さん……ですか?」 何を言っているのか自分でもわからなくて心臓はドキドキするし体が熱くなっていたけれど、津田さんはふわりと柔らかく微笑んで小さく言った。 「そうだよ、咲良。」 それだけ言うと、津田さんはエスコートされて事務所を出て行った。 その場に残った私は口から心臓が飛び出るんじゃないかと思うほど緊張して、そして感動でうち震えた。
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