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「え、事件ってどういうこと」
「イジメのグループがあって、ターゲットになった子が自殺未遂を起こしたらしいんだって。その主犯のイニシャルがMらしいのよ」
M、ミカイタケルのMと考えるのは当然か。しかしそれでもあたしは、御甲斐が仲間を引き連れて弱い者いじめするのはとても信じられなかった。
そしてこっちの学校ではこっちで問題が起きていた。
イジメとか村八分ほどではないが、クラスの皆んなが御甲斐に関わらないように露骨に距離をとりはじめたのだ。しかもそれだけでなく、あたしもなんとなく避けられていた。
※ ※ ※ ※ ※
「あんた達ほんとうにつき合っていないの」
タカコがトイレで神妙な顔で、小声で聞いてきた事に仰天した。
「はあ? なんでよ、つき合ってるわけないじゃん」
いったいどこをどう見たらそう見えるのだと、タカコに詰め寄る。
「怒らないでよ、訊いただけなんだから。ていうか皆んなそう思っているのよ、だから御甲斐を庇ったんだろうって」
──ああそれで皆んなあたしにも距離をとった感じになっているのか。
「タカコはよくあたしに話しかけられるわね、巻ぞえで仲間はずれにされるわよ」
「べつに気にしないからいいわよ、それに知り合ってまだ短いけど、あんたは悪いやつじゃないって思っているから」
「ありがと……」
とはいえ、クラスの重苦しい空気をなんとかしないと息が詰まる。だからといってこれ以上御甲斐に関わると、ますますつき合っていると思われるのもヤだしなぁ。どうしよう。
※ ※ ※ ※ ※
授業中、隣の席にいる御甲斐の顔が見られない。
周りにつき合っているかもと思われていると、よけいに御甲斐に話しかけられない。
御甲斐の転校してきた理由が分かれば解決できるかもしれないけど、もし、もし、もし本当にイジメをしていたらどうしよう、ありえないとは思うけど、それなら御甲斐はどうして話さないんだろう、まさか、まさか、まさか……。
授業中ずっと考えたけど結局、訊かなきゃわからないという当たり前の答えしか出てこなかった。
※ ※ ※ ※ ※
「御甲斐、なんで転校してきたか言えよ」
放課後、タナカがまた御甲斐に詰め寄ってきた。
「俺はよ、イジメをするヤツはゆるせないんだよ。お前がイジメをするようなヤツなら、学校に来てほしくないんだよ」
タナカが問い詰めるが、御甲斐は何も言わない答えなかった。それに頭にきたタナカが御甲斐の胸ぐらを掴んで立ち上がらせる。やばいと思ったあたしは、またもや間に入って止めようとしたが、今度はタナカに邪魔だと突き飛ばされてしまった。それを見た御甲斐がタナカに殴りかかった。
「やめて、やめてよ」
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