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結局、ふたりは大ゲンカとなり、先生が間に入ってやっと止められた。
原因はなにかと問いつめられて、タナカは正直に話すが、御甲斐はまただんまりを決め込んだために、ふたりは停学処分となった。
※ ※ ※ ※ ※
「なんで御甲斐は話さないんだろうね」
御甲斐たちが、停学になって二日目、タカコがあたしに話しかけてきた。
「さあね。先生たちも話してくれればいいのに、言わないのよね」
「前の高校って○○工業っていう男子校だよね、野球部が強くて有名の。気になったからあたしもネットで検索してみたら、同中の知り合いがいたの。それで連絡してそれとなく訊いてみたんだけど、言葉を濁してはっきり言ってくれないのよね」
タカコの言葉に、あたしはくいついた。
「タカコ、その人に会わせて。何があったか知りたいの」
「え、なんで急に」
「だって、あたしが突き飛ばされたから御甲斐は手を出したんだよ、なんか責任感じてさ。それにクラスのこのもやもやした感じを解決したいじゃん」
最初はしぶっていたが、結局あたし以上に好奇心の強いタカコはその人と連絡をとって、会う約束をしてくれた。
※ ※ ※ ※ ※
停学三日目の放課後、とあるファミレスであたし達は、御甲斐の元クラスメートである青地というタカコの知り合いに会っていた。
「久しぶり、部活頑張っているの」
「ううん、もう辞めたんだ」
「え、なんで? レギュラーになって甲子園に行くって言ってたじゃん」
「ごめん。言えない」
「どうして」
「どうしてもだよ、今日はそれを言いに来たんだ。タカコは昔から好奇心が強いから、そのうち学校に来るかもしれないから、それを止めに来たんだ。悪いこと言わないから探るのやめとけよ」
タカコは問い詰めるが、青地は止めとけしか言わない。あたしは業を煮やして、御甲斐が今どんな状況になっているかを話した。
「あいつらしいなぁ、武瑠が話さないのはオレと同じ理由……、ちがうな、理由は違うか、だけどおんなじだよ」
青地が訳のわからないことを言うので、タカコとふたりして、脅したり、なだめたり、すかしたり、ゴマをすったりと、あの手この手で迫った結果、絶対誰にも言うなよと言って、やっと話してくれた。
「ウチの野球部、強豪だろ。だからそれなりに厳しくてさ、上級生から下級生へのあたりが半端なく厳しいんだ。
オレも上級生にシゴキを受けてさ、それが耐えられなくて辞めたんだ」
「じゃあ、ネットにあった自殺未遂したのってアンタなの」
「違う違う、オレじゃない。……オレじゃないけど本当にあったんだ……」
「御甲斐はそれにどう関わっているの」
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