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そんな事を思い出していると担任の高馬先生が教室に入ってきてHRが始まった。
「HRを始める前に皆に紹介しておこう。昨日話していた転校生だ、君、入ってきなさい」
クラスの皆んなが入り口に注目すると、扉が開いて学生服の男子が入ってきた。あいつだ、今朝ぶつかったあの男子じゃないか。
「自己紹介を」
「こんど転校してきた御甲斐武瑠です、よろしくおねがいします」
「て、転校生」
思わず声に出てしまったので、皆んながあたしに注目する。
転校生もとい御甲斐武瑠もあたしを見て、気がついたらしい。
「あ、おまえは今朝の女」
御甲斐の言葉に高馬先生が知り合いかと訊ねると、わざわざ今朝出来事を説明してくれた。おかげで担任を含むクラス全員がほほうという顔でにやにやしはじめる。
「じゃ、御安、転校生の世話をよろしくな」
「せ、先生」
「あ、じゃあ僕の席ゆずります」
隣の席の男子がそう言うと、それはそれはテキパキと、うちのクラスってこんなに協調性があったっけと思うくらいスムーズに事は進み、あっという間にあたしが御甲斐の面倒をみることが決定してしまった。
「……よろしく」
「……こちらこそ」
「返事はできるんだな」
「あんたこそ挨拶できるのね」
互いにそっぽを向きながら話すあたし達を、全員がまだにやにやしながら見ている。見世物じゃないわよ、いい加減にしないと怒るからね。
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