明日、世界が終わるなら

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明日、世界が終わるなら

 ―もしも明日、世界が終わるとすれば―  もしも、仮定の話。  あり得ないという前提のもとに聞かれる問いに、  ―どんな願いを、叶えてもらう?― 「そのことを、忘れさせてもらう」  そう、答えを返した。  *  そんな夢を見た。  あまりにも非現実的で、けれどどこかで望んでいる夢。 『世界が終わればいい』  漠然とした不安。先の見えない将来への不安。その他諸々の、形にならない不安。  それは無責任に、世界そのものへと転嫁する。 「何してるの?そんなところで」  誰かが声をかけてきた。 「君と同じことさ」  僕はそう返す。  現在は授業中。  真面目な生徒はこんな時間に僕に話しかけることはない。  十中八九どころか、十中十でサボリだろう。 「へえ。先輩ですか?」 「どうだろうね。生意気な後輩かもよ」 「ならそれでいいです。それなら気を使わなくて楽ですし」  変わった人間だな、という思いを抱いた。  もっとも、僕が言えたことではないが。 「隣、いいですか?」 「好きにすればいいよ。僕は気にしないし」 「それじゃあ、しつれーい」  さっきの言葉の通り、遠慮なく隣につく。  まあ、これも自業自得か。 「ねー、先輩」 「後輩かもって、さっき言ったけれど…」 「えー、それはないですよ。だって私」  ー一年ですから。  面倒なのに絡まれたな。  それがその時の僕の感想だった。
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