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「ご褒美?」
「はい。ご褒美です」
嫌な予感がする。
何を言われるか、予想がつかない。
「あはは。何身構えてるんですか、先輩」
「いや。何言われるか怖いから」
「大丈夫ですよ。危害を加えるようなものではないですから」
「それって、最低レベルの保証だと思うけど」
「だからそんな身構えなくてもいいですって」
-私の質問に、答えてもらうだけですから。
*
「質問?」
「はい。たった一問の、簡単なアンケート」
「それ、アンケートって言うのかな?」
「はい。じゃあ聞きますよー」
それは、簡潔な質問だった。
それは、難しい問題でもあった。
「先輩は、命は大事だと思いますか?」
「命は、……大事だと思う」
即答はできなかった。
「それの根拠って、なんですか?」
「死にたくないから」
「死にたく……ない」
「うん。少なくとも僕は死にたくない」
「それは、自分が死ななきゃいけない状況に陥っても?」
「何その状況」
「例えば、先輩が死ねば世界が救われるって状況でも、先輩は、死にたくないって、言えますか?」
「ごめん。それに関してはスケールが大きすぎてわからない」
けれど、
「まあ、でも、そんなことが起こるんなら-」
“世界なんて、終わってしまえ”。
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