明日、世界が終わるなら

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「ゾンビゲーム?」 「はい。これ二人用のモードがあって、気になってたんですよね」  襲ってくるゾンビを、銃で撃っていくゲーム。  そういう認識しか、僕は持っていない。 「足引っ張るかもよ?」 「大丈夫です!先輩は私が守ります」 「それはそれで何かもやっとするなぁ」  とはいえ、初心者であるという現実は変わらない。  だからここは、甘えることにしよう。 「まあ、じゃあ、お願いね」 「はい!お任せを!」  *  百円を入れて、ゲームスタート。  カーソルを合わせて、トリガーを引く。  命中。 「先輩、やったことないって言っときながら、結構上手いじゃないですか」 「今、話しかけ、ないで、気が、散る!」  ながらで喋ってる後輩は、何度もやっているんだろうか。  とにかく今は、画面の中にいるゾンビを撃たないと。 「って、わっ!」 「おっと。危ないですよ、先輩」  * 「いやー、私の勝ちですねー。先輩」 「敗者にむち打つのって、楽しい?」 「ええ。楽しいです!」 「清々しく言い切ったね」 「誤魔化したって無駄でしょう?」  目の前の後輩は、躊躇いなく言い切る。 「そうだ。私が勝ったんですから、ご褒美くらいもらってもいいですよね?」
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