運命の人

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運命の人

あれから、あっという間に1年が経ち、私はとても優しい素敵な彼氏ができた。 今までの彼氏と言えば、ロクな男じゃなかった。 優しいけど仕事はしないで私にお金をねだる男、嘘ばかり言って浮気を繰り返しする男、ギャンブルにタバコが酷い男、どれもこれも付き合ってから分かった。 自分も見る目が無いし、男運も悪かった。 だけど、今は違う。自分自身の中から変えてくれた家族が居る。 私は男を見る目も男運も無かったが、今はある程度、良くなっている気がする。 少なくとも前の様な男には引っ掛からない。 今は彼氏が出来ると彼氏を家に連れて来るので常に皆が、どんな人なのか見てくれる。 今の彼は皆の意見一致で、結婚相手は、この人にしなさいと言ってくれた。 それから、2年の月日が経ち順調に愛を育んでいった。 ある日、彼氏が家に来る際に、 「玲奈、今日は僕がご飯の準備をするから、準備しなくていいよ」 「えっ?あ、ありがとう!分かった。」 料理の出来ない筈の彼が何か料理してくれるのかな?と期待と嬉しさとドキドキで、私は自然と笑顔がこぼれた。 家に来るなり、彼は大きな荷物を持って来た。 「うわぁ~何か大荷物ね。」 「そうなんだ!俺、料理出来ないから、全部出来たものだけどさ、買ってきた。準備するから待っててね。」 私の期待とは違ったけど、色々買って来てくれたり、準備をしている姿を見てると、何だか、とても嬉しく幸せな気分に包まれる。 「私も何か手伝おうか?」 「大丈夫だから、ここに座ってて。」 目の前の使い古されたテーブルの上に、真っ白なテーブルクロスがかけられた。 ボロい家なのに、そこには高級レストランに来たように素敵にセッティングが、されていく。 何処かの高級レストランの料理を、盛り付け方も載っている紙を見ながら、彼が次から次へと盛り付けていく。 そのうちに、テーブルの上には沢山の豪華な料理が並んだ。 「家の方が落ち着くだろう?だから、今回はテイクアウトにしたんだ。」 あまり、外に行くのは得意じゃない私の事を思っての事だろう。 私は瞼がじんわり熱くなるのを感じながら、 「うん!凄いね。こんな素敵に準備してくれて、ありがとうね!でも今日、何かの日だっけ?私の誕生日でもないよ?」 彼は少し焦った様に話始めた。 「玲奈、実はさ、デザートの時に言おうと思ってたんだけど、、」 彼がポケットから指輪の箱を取り出しパカッと開けて見せてきた。 「玲奈を幸せにします。僕と結婚して下さい。」 私は驚き嬉しすぎて、涙が止めどなく流れた。 「はい。宜しくお願いします。」 私達は強く抱きしめあいキスをした。 私は今までに無い、深い底から込み上げる幸せに、力が抜けた。 こんなに幸せを感じられるのも私が変われたのも全部、幽霊家族、皆のおかげだった。 感謝してもしきれない。 私は不安だったが彼に全てを打ち明けた。 私には、ずっと一緒に暮らしている幽霊家族が居る事、今まで支えてもらった事、今の自分が変わる前の事も、、 彼はただ、泣きながら話す私の話を黙って聞いてくれた。 一通り話をして落ち着くと、彼が話始めた。 「玲奈、実はね、僕はその幽霊家族の皆が居る事は知ってたよ。僕にも見えるけど玲奈が言うまで、見えないふりをしていたんだよ。」 彼は、驚き目を丸くした私を見向きもせずに、そう言うと、その幽霊家族の方を見て正座した。 「皆さん、今まで見えないふりをしていて、すみません。玲奈の事、今までありがとうございます。僕、玲奈を幸せにします。」 そう言い頭を下げた。 その幽霊家族は皆、泣きながら笑顔を見せていた。
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