るるのしあわせクッキー

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 もりのなかのちいさなおうち。  キッチンには、あまいバターのかおりがひろがります。  かまどをのぞくと、こんがりきつねいろ。  まちにまった、クッキーのかんせいです。  るるは、おかしづくりがだいすきなおんなのこ。  おしごとがいそがしいおかあさんのかわりに、いつもおばあちゃんがてつだってくれます。  きょうは、おかあさんのたんじょうび。  だからるるは、おかあさんがだいこうぶつのクッキーをつくったのです。  クッキーはとてもおいしくやけました。  ぴんくいろのつつみがみにくるみ、プレゼントのじゅんびはかんぺきです。  るるはうれしくなって、クッキーをかかえたまま、おかあさんをまちまでむかえにいくことにしました。  みちのとちゅうで、ともだちのりすくんにあいました。  いつもあかるいりすくんですが、すこしげんきがありません。 「こんにちは、りすくん。どうしたの?」 「やぁるる。じつはね、だいじにしていたぼうしをなくしてしまったんだ」  るるは、しょんぼりしているりすくんに、クッキーをひとつわけてあげることにしました。 「おいしい! なんだかげんきがでてきたよ。ありがとう」 「よかった。どういたしまして」  またすこしすすむと、こんどはうさぎのおやこにあいました。 「えーんえーん」  うさぎのあかちゃんはないています。うさぎのママはこまりがお。 「こんにちは、うさぎさん。どうしたの?」 「るるちゃんこんにちは。じつはね、まちでかってきたパンを、このこがかわにおとしてしまったの」  るるは、おなかをすかせたうさぎのあかちゃんに、クッキーをひとつわけてあげることにしました。  あかちゃんはなきやんでにこにこえがおです。  それをみたママも、とてもうれしそう。 「ありがとう。るるちゃんはやさしいこね」 「えへへ、どういたしまして」  みんながよろこんでくれて、るるはぽかぽかとあたたかいきもちになりました。  だけど、つつみのなかみは、あとひとつだけ。  るるはそれをだいじにかかえながら、まちまでいそぎました。  
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