11人が本棚に入れています
本棚に追加
呪いがあっても
「はぁはぁはぁ・・・」
俺は追われていた。
とある魔女の秘術を見たために。
俺は巨人族だ。
大抵の種族は俺の敵ではないが
魔法を使う魔女だけは勝ち目が無い。
そこで必死になって逃げているわけだが
森が突然開けて湖に出た。
「も、もう。走れねぇ」
俺の本来木を切る斧は
魔女の放った使い魔を切ったので
刃がボロボロになっている。
俺は肩で息をしながら
湖に近寄り水を飲んだ。
「ほほほほ、まぁよくもこの魔女を
手こずらせたこと」
俺はハッと後ろを振り向いた。
そこには全身黒ずくめの
魔女が立っていた。
「ほほほ、逃げ回るお前を見ているのは
楽しかったわよ。
そのご褒美に魔法をかけてあげようねぇ。
〜#$`&%$*!」
歯噛みして睨みつけるだけの俺に
魔女の魔法が絡みつく。
そして気づくと俺は小さくなっていた。
「ほほほほ、愚かな巨人族の男よ。
これからは親指族として生きていくがいい。
ほほほほほ」
そう言って魔女は消え去った。
俺は今まではただの草だった場所が
大木の様な大きさになっているのに
呆然とした。
その時、ガサガサと今は大きくなった
草の間から若い女性がでてきた。
「親指族?」
さっき魔女が俺にそう言っていたので
何とはなしにつぶやいた。
するとその女性は首をこてんと傾げて
「そうだけど、あなたもそうでしょ。
どうしたの?」
俺は彼女に事情を話した。
話を聞いた彼女は俺を
親指族の村に誘い、村人たちは受け入れてくれた。
まぁ、結論から言うと
巨人から親指族になったわけだが、
身体能力は変わらないので、
俺は農作業や虫を倒したり
巨人族の時と変わらずの生活を送った。
そして俺は彼女と結婚した。
家庭を得て、俺は幸せな人生を送った。
了
最初のコメントを投稿しよう!