糸車

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糸車

とある森の中。 一人のニンフが座っている。 彼女は糸車を使って水を紡いでいた。 「水は回る 水は回る 運命を手繰らせて水は回るよ いついつまでも・・・・」 彼女の歌に聞きほれた男たちが 数多く求婚したが、 彼女は頑なに首を縦に振らなかった。 しつこい男は、それこそ水が 糸のように男に襲い掛かり、 縛り上げてしまい、許しを請うまで 木に吊るすのだった。 そして年月が流れ 彼女が紡いでいた水は大きな大きな龍へと変じた。 そしてその龍は人間の形をとると ニンフを抱きしめた。 ニンフもにっこり微笑んで 二人は大空へと飛んで行った。 湖面はしばらくさざ波に揺れるのだった。 了
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